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人と動物の絆(HAB)を考える

東日本大震災が起きた翌月の4/1に、津波によって流された一頭の犬が宮城県気仙沼沖合いを漂流する倒壊した住宅の屋根の上にいたところを発見され、3週間ぶりに無事救助されました。その後、飼い主と再会した際の映像がニュースなどで放送され、動物の真の強さや気丈さを見て感動を覚え、勇気づけられた人も多かったのではないでしょうか。
[参考動画]3週間漂流犬飼い主と再会。

これまで人類の歴史と共に動物の存在があり、現代では「ペット=所有物、愛玩物」としての位置付けではなく、我が子のように愛情を注ぎ、喜びや悲しみまでをも共有する「コンパニオンアニマル」(伴侶動物)へと変化してきました。一方で、動物たちも人間の良きバディとしての役割を担い、人々に多くの恩恵を与えています。

ヒューマン・アニマル・ボンド(Human Animal Bond)とは、人と動物とが触れ合い、相互に作用し合うことで得られる効果を認知し、双方の福祉とする概念です。欧米ではペット共生社会の実現に向け、1970年代から研究が続けられています。
日本でもアニマルセラピーという言葉をよく耳にしますが、これもHABの取り組みの一つであり、動物との関わりで生まれるその効用は「癒し」や「安らぎ」だけでなく、「医学的治療」の効用があることも多数の実例で明らかにされています。
ある少年院では収容者のリハビリメニューとしてドッグトレーニング(犬の世話や躾)を導入したところ、その後の再犯率が大幅に減少したそうです。また、ある高齢者介護施設では動物介護療法を取り入れたことで、認知症の高齢者の孤独感や抑うつを軽減させ、生きる気力を取り戻すようになったそうです。
私達の何気ない生活の中にも、ペットと顔を合わせただけで疲れが吹き飛んでいたり、動物との触れ合いで知らぬ間に笑みがこぼれていたり、子供の頃にお祭りですくった金魚でも大切に可愛がり、飼育した経験を鮮明に記憶しているなど、まさに人の心を和らげる効用をもたらしているといえるのではないでしょうか。
ただ、それだけにペットとの死別や生き別れは、あまりに切なく悲しい経験であり、近年ではその喪失感などから精神疾患を発症してしまう人も多く、ペットロス症候群の研究を含め、回復援助のためのグリーフセラピー(悲嘆療法)なども注目されています。

日本がペット大国となった今、これから真のペット共生社会を構築していくための課題として、環境、施設の整備や躾など表面的な取り組みだけではなく、ペットを飼育する中での厳しさと楽しさの両面を理解した上で、それでも互いを必要とし、共に暮らす意味を多くの人が考え、共有できる社会に変えていかなければなりません。私共JLPRスタッフ一同も迷子ペットの捜索のみならず、さらに現状の問題に目を向け、それを解消していくための取り組みを続けていきたいと考えています。